夜中、赤ちゃんを抱っこしたまま、立って揺れ続ける時間。
育児をしている人なら、分かってもらえると思います。あの時間、無言でやっていると、なかなかきつい。
腕は疲れるし、時計は進まないし、「まだ寝ないのか」という気持ちがじわじわ出てくる。
そんな時期に、自然と歌うようになりました。
歌い始めた理由は、自分のためでした
先に、正直に書いておきます。
「赤ちゃんが落ち着くから歌おう」と思って始めたわけではありません。
抱っこしたまま寝かせる時間を、少しでも気持ちを楽にするため。
それが、歌い始めた理由でした。最初から、自分のためだったんです。
歌っているのは、こんなものです
- きらきら星などの定番の子守唄
- 好きなアーティストの曲
- 鼻歌(メロディも適当)
見てのとおり、「子守唄らしい子守唄」ばかりではありません。
定番の曲は、たしかに歌いやすい。でも何度も繰り返していると、さすがに飽きます。そうなると自分の好きな曲になり、それも尽きるとただの鼻歌になります。
歌詞もメロディも適当です。それでも、何も歌わないよりずっといい。
「ちゃんとした子守唄を覚えなきゃ」と思う必要は、まったくありませんでした。
歌うと、自分がこう変わります
実際に歌うようになって感じた変化です。全部、自分側の変化です。
- 無言で抱っこしているより、時間が早く過ぎる
- イライラしにくくなる
- 呼吸がゆっくりになる
- 体の揺れにリズムが出る
- 「早く寝てくれ」という焦りが減る
- なんとなく、楽しい
このうち、いちばん大きいのは1つ目かもしれません。
無言で揺れていると、意識が全部「まだ寝ないのか」に向きます。時計ばかり見ることになる。
でも歌っていると、意識が歌のほうに少し逃げます。1曲終わったらもう1曲、という感じで進むので、時間の感じ方がまるで変わります。
焦りが減るのが、いちばん効く
そして、これが本題です。
寝かしつけがしんどいのは、腕が疲れるからだけではありません。「早く寝てほしい」という気持ちが、こちらを削っていくからです。
そして、焦りは伝わります。赤ちゃんに伝わるかどうかは分かりませんが、少なくとも自分の抱っこは確実に雑になります。揺れが速くなったり、力が入ったり。
歌っていると、そこが緩みます。焦っている人は、歌えません。
理学療法士として、思うこと
私は普段、理学療法士として働いています。体の動きを見るのが仕事です。
その目から見ても、歌うことには理屈があるように思います。
歌うと、息を長く吐くことになります。呼吸がゆっくりになれば、体も気持ちも落ち着く方向に向かいます。黙って立っているときの、浅い呼吸とはまったく違う。
もうひとつがリズムです。
歌には拍があります。歌いながら揺れると、自然とその拍に合わせた、一定の揺れになる。無言だと、だんだん速くなったり、不規則になったりします。
以前、助産師さんの講座で「背中のトントンは、お母さんの鼓動に似ているから落ち着く」と教わりました。
だとすれば、歌も同じ系譜にあるのかもしれません。一定のリズムが、そこに生まれるという意味では。
※これは私の感想であって、医学的に証明された話として書いているわけではありません。
赤ちゃんのほうは、どうなのか
肝心の息子はどうかというと——
- 歌うと落ち着く気がする
- じっと見てくる
正直、「気がする」止まりです。歌ったから寝た、と言い切れるほどの確信はありません。
ただ、じっと見てくるのは確かです。
最近、こちらの顔を目で追うようになってきました。歌っていると、その視線がこっちに向く。聞いているのか、口が動いているのを見ているだけなのかは分かりません。
でも、見られていると思うと、こちらも少し嬉しくなります。結局これも、自分側の効果です。
まとめ:寝かしつけは、耐える時間じゃなくていい
子守唄というと、「赤ちゃんを寝かせるための技術」として語られがちです。
でもわが家の場合は違いました。歌っているのは、自分が楽になるためです。
赤ちゃんに効いているかどうかは、正直よく分かりません。でもこちらには確実に効いている。それだけで、続ける理由としては十分だと思っています。
もし今、夜中に無言で抱っこしてつらい思いをしている人がいたら。
鼻歌でいいので、何か歌ってみてください。
上手である必要も、ちゃんとした曲である必要もありません。誰も聞いていませんし、聞いている相手は何も言いません。
同じ10分でも、だいぶ違うはずです。


