妻が、ぎっくり腰になりました。
息子は生後2ヶ月半。いちばん手がかかる時期です。
そこから、赤ちゃんの世話と、動けない妻の看病を同時にする日々が始まりました。
以前、産後の妻の腰痛について記事を書きました。歩き方で気づいて、骨盤ベルトを買い直して——という話です。その続きが、こういう形になるとは思っていませんでした。
床から立ち上がろうとした、その瞬間
きっかけは、床から立ち上がろうとしたときでした。
特別なことは何もしていません。重いものを持ったわけでも、無理な体勢をとったわけでもない。ただ、立ち上がろうとしただけです。
ここで、ひとつ思ったことがあります。
育児は、床から立ち上がる回数が異常に多い。
おむつを替える。床に寝かせる。抱き上げる。落ちたものを拾う。1日に何十回、床と行き来しているか分かりません。
私は普段、理学療法士として働いています。その目から見ても、産後の体で、この回数の立ち座りを毎日こなすのは相当な負担だと思います。
しかも妻は、もともと腰に不安を抱えていました。産後の腰痛も続いていた。そこに、この動作の繰り返しです。
起こるべくして起きた、という言い方はしたくありません。でも、後から振り返れば、条件はそろっていました。
1日目:助けを呼びたくても、動かせない
すぐに考えたのは、実家を頼ることでした。
これまでも、何度も助けてもらっています。私が胃腸炎で倒れたときも、実家に頼りました。だから今回も、同じようにすればいい——そう思いました。
でも、できませんでした。
妻が、まったく動けなかったからです。
車に乗せることすら難しい状態でした。座る、乗り込む、シートベルトをする、数十分揺られる——そのどれもが、今の腰には無理でした。
これは、完全に想定外でした。
- 「困ったら実家を頼る」という備えは持っていた
- でもそれは、「こちらが移動できる」前提の備えだった
- 動けない人がいる状況では、頼りたくても頼りに行けない
倒れたのが私だったときは、妻が動けました。だから成り立っていた。腰をやられると、移動そのものができなくなる。ここが決定的に違いました。
ワンオペ+看病という、別物の大変さ
こうして、自宅で1日を乗り切ることになりました。
正直に書きます。きつかったです。
- 睡眠……夜中の対応も、全部ひとり
- 自分のトイレ・お風呂……タイミングが作れない
- 赤ちゃんの世話そのもの……当然、減らない
- 妻の世話も同時にしなければいけなかった
- 先が見えない不安……いつ治るのか分からない
このうち、普通のワンオペと決定的に違ったのが4つ目です。
「もう一人、動けない大人がいる」
妻が出かけていて一人で子どもを見る——これは、よくあるワンオペです。大変ですが、やることは赤ちゃんのことだけです。
今回は違いました。家の中に、自力で動けない大人がもう一人いる。
水を持っていく。食事を運ぶ。体を起こすのを手伝う。湿布を替える。赤ちゃんの対応をしている最中に、妻から声がかかる。
人手が「半分」になったのではなく、マイナスになった感覚でした。
そして、先が見えない
これがいちばんこたえました。
「今日を乗り切れば終わり」なら、気合いでどうにかなります。でもぎっくり腰は、いつ治るか分かりません。
明日も同じかもしれない。1週間続くかもしれない。終わりが見えない状態で消耗していくのは、体力より先に気持ちが削られます。
2日目:動けるようになって、すぐ実家へ
翌日、妻が少し動けるようになりました。
それを確認して、すぐに実家へ移動しました。我慢して耐えたわけではありません。移動できる状態になった、いちばん早いタイミングで動いたというだけです。
実家に着いた瞬間の安心感は、言葉になりませんでした。
大人が増えるだけで、状況がまるごと変わります。妻は横になっていられる。私は赤ちゃんに集中できる。食事が出てくる。それだけのことで、呼吸ができるようになりました。
お泊りセットが、効きました
ここで、思わぬものが役に立ちました。
以前、実家用のお泊りセットを作っておいたんです。自分・妻・子どもの着替え、おむつ、おしりふき、ミルク、お風呂セット、ローション——ひととおり入れて、実家に置いてあるもの。
作った理由は、「毎回荷物を出し入れするのが面倒だったから」。完全に、横着のためでした。
それが今回、荷造りをせずに家を出られる、という形で効きました。
考えてみてください。妻は動けない。赤ちゃんは泣く。自分は寝ていない。その状態で、2泊分の荷物をまとめる余裕があるかどうか。
なかったと思います。たぶん何かを忘れて、あとで困っていました。
平常時に作った仕組みは、非常時に効く。横着のために作ったものが、こういう形で助けになるとは思いませんでした。
今回、学んだこと
倒れたのが私のときとは、まったく違う経験でした。整理しておきます。
- 「移動できない」場合の備えも要る……こちらから行けないなら、来てもらうしかない
- 来てもらえる相手を、先に想定しておく……親、きょうだい、自治体の支援、家事代行など
- 倒れるのは自分とは限らない……どちらが倒れても回る形にしておく
- 「あと1日なら耐えられる」で判断しない……終わりが見えないときほど、早く人を入れる
特に1つ目です。わが家は「困ったら実家に行く」という備えを持っていたつもりでした。でもそれは、自分たちが動ける前提の備えでしかなかった。
腰を痛めると、移動そのものが難しくなります。「行く」ではなく「来てもらう」選択肢を、先に考えておくべきでした。
腰のほうは、まだ続いています
最後に、現状を正直に書いておきます。
初日よりは動けるようになりました。でも痛みは、まだ続いています。
そして——ぎっくり腰になってからは、受診できていません。
実は、腰を痛める2日前に整形外科へ行っていました。産後の腰痛が続いていたからです。ただ、そのときは特に何か言われるでもなく、湿布をもらって終わりでした。
その直後に、これです。つまり今の状態は、まだ誰にも診てもらっていないことになります。
これは、よくないと思っています。この記事を書きながら、自分に言い聞かせているところです。
- 痛みが続いている、よくならない
- 足にしびれがある/力が入りにくい
- 排尿・排便に異常がある
- 発熱をともなう
- 夜、痛みで眠れない
なお、ぎっくり腰の対処は原因や状態によって変わります。この記事に書いたのはわが家で起きたことであり、対処法の案内ではありません。
まとめ
育児中は、親が倒れることを前提に段取りを組んでおいたほうがいい——以前、自分が胃腸炎になったときにそう書きました。
今回、その備えが片方しか想定できていなかったことが分かりました。
自分が倒れたときは、妻が動けた。だから何とかなった。でも妻が倒れて、しかも移動できないとなると、まったく別の問題になる。
来月、妻が久しぶりに一人で出かける予定があります。私は初めて、長時間ひとりで子どもを見ることになります。
その予行演習が、こんな形で来るとは思っていませんでした。
腰、早くよくなってほしいです。


